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相続タイムズ 第12号

 世界の相続税

 

◇相続税が無い?◇
先日、海外の会社と取引をされているお客様と話をしている時のことです。
個別の取引の話をしていると、私の頭の中では、法人税だけでなく相続税や贈与税といった税金が絡んできて問題が起きることが思い浮かぶのですが、その取引先である外国法人の社長の意見からは、それについての問題意識が全くといっていいほど感じられない、ということがありました。
 もしかして、と思って調べてみたところ案の定、その国をはじめ、世界には相続税や贈与税という考え方が無い国というものが少なからずある、ということが分かりました。
日本の近くで挙げれば、中国・香港・シンガポール・タイ・インドネシア・ベトナムなどが、ほかではイタリア・スイス・スウェーデン・オーストラリア・ニュージーランド・カナダなどが挙げられます。
それぞれの国の思いは様々でしょう。それは事業承継の問題を無くすため、ということもあるかもしれませんし、タックスヘイブン(租税回避地)となることで海外のお金持ちを呼び込む、ということもあるかもしれません。または、そもそも立法をつかさどっている人たちがお金持ちなので、自分達に都合の悪い法律は通さないということもあるかもしれません。
 
◇租税回避◇
 国によってこのような違いがあると次に考えられるのは、税率の高い国から低い(または無税の)国への人の移動です。
島国である日本の国民として考えると、言語の壁や地理的な問題でそう簡単にはいかないかもしれませんが、ヨーロッパのように地続きで普段から往来があるような土地であれば、それほど抵抗はないようです。
そのため、イギリス・フランス・ドイツなどは、そういったことによる人口の流出を防止するために、相続税の廃止を検討しています。(ちなみにアメリカでは廃止する予定でしたが、大統領が変わり、現行のものを維持する、となっています。)
 今住んでいるところから、隣の国でもあるちょっと離れた所に行けば税金がかからないのであれば、移住も当然の選択なのかもしれません。 
 
◇日本では◇
 日本では法人税の税率については、国際競争力を高めて企業の海外流出を防ぐために税率を引き下げる、という話が出てきています。
しかし相続税については、今年は見送られましたが、逆に増税に進む方向の税制改正が予定されていました。
 今後どういう方向に日本の税制が進んでいくのかはまだ分かりませんが、相続税や贈与税には、富の再分配により貧富の格差を是正する、という機能もありますので、廃止するにしても続けるにしても増税するにしても、一長一短で難しい問題です。